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2020/08/21コラム⑮:「グローバル化と国際交流」

津山高専の小西です。

(はじめに)

これまで、このコラムは中国・四国地区の各高専の国際交流担当の教員がリレー形式でつなぐという形で続けられてきました。グローバル高専事業として2016年度から2018年度まで中国・四国地区の各高専でグローバル人材育成展開プログラムが運用され、その情報発信のため開設されたホームページの中の一つの記事がこのコラムでした。

この事業の成果を受けて、津山高専では2019年度  からグローバルエンジニア育成事業を展開しています。そこで、このホームページを津山高専の国際交流事業の情報を発信するという形でリニューアルしました。

本校の国際交流と係りを持つようになってから約20年が経過し、これまで多くの海外研修の企画や引率に係わり、多くの人たちと経験を共有してきました。毎回、参加してくれた学生さんたちの成長の姿を見られることはなによりうれしいことです。そこで、今回のコラムでは私自身の経験のいくつかを紹介しながらこれから海外研修や海外留学に行きたいなと思っている人達へのアドバイスを私なりに述べたいと思います。

まず初めに、海外と接点を持つ時にはやはり言葉の壁が心配になります。そういった心配に負けずに、間違いを恐れずにその言葉を使って自分の意見や思いを人に伝えることを心掛けてほしいと思います。

約20年前にチャンスを得て、外地研究員として10カ月間留学のため家族とともに渡米した経験があり、これが私にとっての本格的な海外との接点になります。大学のキャンパスはミシガン湖畔に広大な敷地を有し、石作りのヨーロッパ寺院を想像させるような建物や近代的なビルディング、民家のような建物が点在し、緑豊な環境の中で研究に打ち込むことができました。一方、家族との滞在であったので、滞在中には大学関係者のみならず多くの人々のお世話になりました。異国で生活をスタートさせるためにはいろいろな場面でいろいろな人たちの力を借りなければなりませんし、そのためにはニーズや思いを瞬発的に言葉に出して理解してもらわなくてはなりません。そんな毎日の中で「学ぶ英語から使う英語」に格闘していたことを懐かしく思い出します。言いたいことをまず日本語で考え、それを英語に翻訳してから言葉にするというプロセスをどうしてもしてしまうわけですが、日本語をそのまま英語に翻訳しようとして、多くの場合につまずいてしまうことになります。そんな時は、できるだけ簡単な言葉に置き換えて、足らない分の補足を付けるという作戦をよくとっていました。

当時も日常生活のなかで享受できるサービスはその質・量ともに日本のものとは比べようもなく、お金と時間と人手をかけ充実しており、個々人の要求を大切にして、その要求をある程度満たしてくれます。つまり、自分から要求・主張を表現してなんぼの世界です。たとえば、食堂でサンドウィッチを注文すると、どんなに順番を待つ人の行列があろうとパンはどの種類、ハムは何の種類、野菜はどれにする、チーズはどれ、付け合わせは何にするなどと質問攻めにあってしまいます。これにうまく応答できないと思い通りの食事を取ることさえもおぼつか無いことになってしまいます。小さなことからでよいので、普段からいろいろな場面で臆さずに「自分の好みや意見をしっかり相手に主張」することにチャレンジしてみてください。

次に、異文化の下で育ったものどうしが知り合い、一緒に活動し成果を生み出すためには、相手の価値観の理解や信頼関係の構築が必要で、このためにはお互いに柔軟性を持って対応することが求められると思います。

津山高専の国際交流の始まりは、グローバル化の波に押されて2002年に本校の学生と教員がペンシルバニア・カレッジ・オブ・テクノロジー(ペンカレ)を訪問したことからでした。2004年には同校と国際交流に関する協定を締結し、その後ほぼ隔年で、相手校を相互訪問しながら学生交流や文化体験などの交流活動を続けてきました。

私自身が津山高専の国際交流と係わりを持ち始めた頃の交流で強く印象に残っているのは2010年のペンカレ来校の際の昼休みの交流会です。多くの学生が見守る中、本校学生がMCとなって、ペンカレ・津山高専合同ミニコンサートが、図書館前広場で開催されました。高専から吹奏楽部の演奏とコーラス、軽音楽部のギター演奏、ペンカレからはギターと引率教員のハーモニカの合奏が披露され、最後にはペンカレ引率教員のハーモニカと軽音楽部員のギターの息の合った合奏も飛び出し、その場にいた者すべてを魅了しました。音楽は国境を超えた言語であるとよくいわれる

ように、この交流会は音楽を通した「一体感のある体験・経験」によって互いに共有できる共感が生み出されたと思えた出来事でした。もちろんその後の交流活動も活発に行われ成功裏に終えることができました。ところで、「共感」という言葉の英語表現をネットで調べてみると、sympathyとempathyがあり、前者は感情の動きを示す「同情」というニュアンスで、後者は自分と違う価値観や理念を持っている人が何を考えるのか「想像する力」のことだそうです。多様な価値観を有す

る人々と協働する経験はきっと、empathyを生み出し、自分自身を深く知る機会や自分の能力を伸ばすきっかけになるのではないでしょうか。

 

 

 

                                                ≪ペンカレとの交流≫

新型コロナウイルス感染症拡大の中ですが経済の視点から見れば、グローバル化はどんどん進んでいます。津山高専は工業高等専門学校の一つです。社会のグローバル化の中で専門という立場からの同質性を持った

海外提携校との交流などの諸活動を推進し、学生のグローバルマインドを育成していきたいと考えています。このため多くの海外提携校や国際交流研修プログラムをもっています。これまで年間50名ほどの学生が海外へ出かけ、各人が他者とは異なる経験や学びをしていました。今年は新型コロナウイルス感染症拡大の中で多くの春・夏の海外研修プログラムが中止となりましたが、これから国際交流事業をどのように展開したらよいのかの模索を始めています。

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