津山高専の堀です。
今、このコラムをシンガポールで書いています。他の先生方のコラムを拝読させていただき、華々しい海外経験の数々に驚かされています。私は、「英語の先生」などと看板を掲げておきながら、現在を含めてやっと人生三度目の海外渡航となったレベルですので、地味なものとなりますがお話しさせていただきます。
初めての海外はイギリスでした。確か6年ほど前で、当時、英語はほぼ話せませんでした。英文学を研究しているというのに、イギリスに一度も行ったことがないのでは格好がつかないと思い、初の海外旅行を決心しました。
行けば何とかなると思い、リュック一つを背負って、携帯も持っていたものがPHSだったので使えないと思い、持っていきませんでした。唯一、iPod touch が手元にありましたので、フリーwi-fiにつなげばどうとでもなると思っていましたが、実際は困難の連続でした。今思えば、海外旅行というより冒険に近かったかもしれません。何も調べず、用意もせず、とりあえず行ってみました。
滞在期間は2週間でしたが、最初の1週目は、「なぜこんなところに来てしまったのだろう」という後悔の気持ちが強くあったことを覚えています。最終的には、「もう少し滞在したかったな」といった感想で旅を終えることができました。
二度目の海外はフィリピンです。時期は3年前で、定時制高校で英語の非常勤講師をしておりました。夏休みに仕事がなくなるので、ぶらぶらしていてももったいないと思い、語学学校に入学し、1か月滞在することにしました。
イギリスでの滞在とその後の仕事の関係で、少しは英語を話せるようになってはいましたが、まだまだ不安だらけの渡航でした。当時のフィリピンは、ロドリゴ・ドゥテルテが大統領に就任したばかりで、国内の情勢はやや不安定なものとなっていました。街中には、いたるところに銃をもった自警団の人間が立っており、最初は恐怖を感じました。しかし、慣れてきますと、彼らが治安を維持してくれているということがわかり、逆に頼もしく感じました。
滞在中は、たくさんの良い先生や友人に恵まれ、充実した学校生活を送ることができました。厳しい学校でしたので、次にフィリピンに行くときは単なる旅行で行きたいなあと思っています。
現在、ニーアンポリテクニクの学生研修引率で、シンガポールにおりますが、洗練された都市景観に驚くばかりです。研修に参加している学生のみなさんの年齢を考えると、「自分ももっと早く海外に行けばよかったな」と少し後悔しております。
まだ、二日目を終えたばかりですが、参加学生の表情が生き生きとしているのを感じます。参加者のコメントに、「見るものすべてが新鮮だ」といったものも挙がっており、そういう体験の手伝いができたことに喜びを感じております。
「海外に行くのが怖いな」と思っている学生の方は、こういったプログラムに友達と一緒に参加してみて経験値をためるのも良いでしょうし、一人旅がお好きな方は、金とインターネットさえあれば何とかなります。「海外は自分に関係ないし、興味もない」と思っている方は、とりあえず一度、日本を出てから考えてみるのも悪くはないと思います。
私はこれからお金をためて、もっといろんな国を旅行してみたいです。学生のみなさんも、昔と比べて留学プログラムが充実していますので、積極的に挑戦して、いろんな世界を学んでもらえればと思います。